2026年3月末をもってA型を廃止(予定)
急なお知らせとなり、誠に申し訳ございません。弊社は、2026年10月からの社会保険適用拡大に対応する体制整備が困難な状況にあり、誠に心苦しい限りではございますが、2026年3月末をもって就労継続支援A型事業を廃止する予定です。2025年2月より利用者様および関係者様向けの説明会を実施いたします。移行先支援として、一般就労や他のA型事業所への転職支援を行い、雇用先が確保できない場合はB型事業所(217名)での受け入れを計画しています。経営努力を重ねてまいりましたが、課題解決には至らず、深くお詫び申し上げます。
説 明 会 開 催
説明会は2025年2月、3月、6月に計3回開催いたします。代表者が直接説明し、質疑応答を通じて協議します。経営責任に関するご質問も承ります。ご家族様や関係者様にもご出席いただけます。ご案内状をお送りしておりますので、お申し込みくださいますようお願い申し上げます。
廃止理由
A型廃止の理由は、2026年10月以降に予定されている「社会保険の適用拡大」に伴う人件費(賃金)の大規模な増加が避けられない見通しであるためです。「106万円の壁撤廃」とも言われ、利用者様は、社会保険の加入対象となります。一時的に資金繰りで凌いだとしても、障害者総合支援法A型の基準において評価スコアが下がり、運営が圧迫されることになります。これは、法規制を非難する趣旨ではなく、力不足が根本的な原因です。
社会保険への加入義務
ここでの社会保険は、健康保険、介護保険、厚生年金を指します。労災保険や雇用保険は既に対象でしたが、社会保険は対象外でした。社会保険の適用拡大がA型事業の継続を困難にする理由についてご説明いたします。例、45歳で月額88,000円が支給される場合、変更前の手取り額は87,472円でしたが、今後は74,386円に減少します。社会保険料(雇用保険含む)は本人・会社負担がそれぞれ13,614円で、合計27,228円となります。これにより、賃金総額は101,614円となります(料率は変更される可能性があります)。なお、計算には「子ども子育て拠出金」を含めてないため、実際はさらに大きくなります。2026年以降、1人当たり26,172円(暫定値)の社会保険が発生する予定です。対象は217名で、単純計算で総額は26,172円×217名となります。加えて、労務士費用や健康保険、給与計算などの管理費も発生します。
106万円の壁撤廃
2024年11月21日、厚生労働省「第186回社会保障審議会医療保険部会」で「全ての労働者に被用者保険を適用することが望ましい」と示され、いわゆる「106万円の壁撤廃」が明らかになりました。さらに2028年10月から、雇用保険の適用要件が週20時間以上から10時間以上に引き下げられる見込みです。将来的には10時間未満の労働者にも適用が広がる可能性が示されています。現在でも社会保険適用の拡大は大きな変化ですが、さらなる拡大方針には驚きを感じつつも、これが避けられない流れと認識しています。
壁の撤廃により、加入対象者は140名から350名に増加し、年間社会保険料は約1億4000万円から約2億1000万円に増加します。月額で約570万円、年間約6830万円の負担増です。対象者が少なかった弊社にとって、この急激な変化は大きな負担で、十分な備えが整っておりません。備えとは売上と利益の確保ですが、競争力強化や顧客対応、コスト管理、生産改革など経営力を総動員して初めて実現できるものです。社会保険料増加に対応するため、売上高を現年比約1億4000万円増の約4億1700万円にする必要があります。この目標は約1年以内に達成し、その後も年率約10%の成長を継続する必要があります。
障害福祉サービス等報酬改定
社会保険料は支払い義務のある税金で、事業主負担分も賃金と見なされ、未加入は認められません。障害者総合支援法では「事業収入から必要経費を差し引いた額が賃金総額以上であること」が求められています。令和6年度の報酬改定により、生産活動収支が賃金を下回る場合、評価スコアが減点される仕組みになりました。福祉新聞によると「令和6年3月から7月に4279人が解雇された」と報じられています。弊社は減点を受けたことはありませんが、今後、収支が賃金を下回ることでスコア減点や閉鎖リスクが高まると考えています。
回避努力
弊社では、真円値と長さを一体化した計測器や自動糸巻き機、皮剥機などを導入し、効率化と技術開発を進めてきました。また、オンネームや記念品のラインアップ増加で付加価値を向上させ、売上高も前年対比で増加しました。しかし、約1億4000万円の売上増加に向けて有効な解決策を見つけることはできませんでした。効率化への投資を進めるべきとの意見もありますが、売上増加の主な要因は客単価の上昇で、労働生産性の向上には課題があります。また、費用削減や資産売却等の対策も試みましたが、A型の継続は困難と判断せざるを得ませんでした。また、「手取りが減るなら社会保険に加入したくない」との声もありますが、社会保険の加入は労働者の希望で選べるものではなく、会社に義務があります。加入を怠ると指導され、最終的には罰則が科される場合があります。
事業の目的
「ピース」は約16年前、障がい者の自立を目指して設立され、私も設置計画に関わりました。図は、A型事業で得られる収入やグループホームの生活費を示しています。A型廃止後も「自立した社会生活」の目標を変わらず追求し、今のA型と同程度の手取りを実現するB型事業、製造業、グループホームを通じて実現を目指します。
移行先支援
事業所廃止に伴い、ピースは移行支援を実施させていただきます。障害者総合支援法第43条第4項に基づき、2025年6月頃にA型事業所利用者様に対し、2026年3月末以降のご希望を調査いたします。調査での主な選択肢は以下の通りとなります。
1)一般就労や他のA型事業所への就労支援
2)B型事業所への就労支援(見学支援、手続きサポート、失業保険手続き等)
3)その他、個別のニーズに応じたサポート(例:就労移行支援、自立訓練、日中一時支援、生活介護など)
ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
事業移行計画
同法第43条第4項に基づき、移行先支援のために、変更する事業内容と定員計画を示した図です。移行先支援では、一般就労や他のA型事業所での雇用維持が最も望ましいと考えていますが、現実的な課題として、一般就労や他のA型事業所での就労が困難な方もいらっしゃいます。そこで、弊社では新たにB型事業所を開所し、受け入れ枠を整備します。添付の図では、運営している通所施設の数、提供サービスの種類、定員、そして2026年4月(予定)のサービス変更計画について記載しています。運営体制の移行の参考にしてください。
ピース東山は、サービスの変更はせず、A型廃止後に閉鎖予定です。ただし、福祉サービス利用希望者には、他の事業所等で責任を持って受け入れ枠を確保します。本計画は利用者様の希望や状況に応じて柔軟に対応します。一般就労や他のA型事業所で雇用が実現した場合は、定員からその分を減らす方針です。計画は大枠の見通しであり、変更の可能性がありますので、ご了承お願いいたします。
現在、主に新庄最上、村山地域において関係のある県や市町村の福祉課、労働局、ハローワーク、労働基準監督署、就業・生活支援センター、特別支援学校、相談支援事業所、就労支援事業所、医療機関等へお知らせしております。
最後に、A型事業廃止に伴い、多大なご迷惑と混乱をおかけし、深くお詫び申し上げます。責任を重く受け止め、深く反省しております。今後は、利用者様の生活を最優先に考え、誠心誠意対応いたしますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。敬具
ユニオンソーシャルシステム株式会社
代表取締役 加藤翔